クロスの見本帳を調達して、いざ、クロスの柄を決めようとしてもあまりの種類の多さに迷ってしまいます。
ここでは、迷わず最適な柄のクロスを選び出す方法を考えて見ます。
素材を決める
クロスには、ビニール、和紙、紙、織物、珪藻土、オレフィンなど表面仕上げの異なる種類があります。
それぞれに特徴があり値段も異なりますので、まず、どの表面仕上げのものにするのか決めます。通常、こだわりがなければ、ビニールクロスにします。
また、貼替えの場合には、避けたほうがよいものもありますので、注意しましょう。
それぞれのクロスの特徴
ビニールクロス
現在、一番ポピュラーなのがビニールクロスです。汚れにくく、掃除も簡単です。
材料価格も¥1,000/㎡前後のものが主流でお値打ちです。
汚れ防止や消臭、抗菌、通気性などの機能をもつ製品もあり、デザインも豊富です。
日本製のビニールクロスは世界的にも高性能で、ドイツのRAL規格より厳しい
日本壁装協会の独自規格ISM規格にクリアしています。
しかし、はりかえのときに発生するクロスの廃棄物の処分方法が未だ確立しておらず地球環境に対する配慮が課題です。
現在、さまざまなリサイクル方法を研究中で、粉砕、分別してリサイクルする方法が有望です。
廃棄されたビニールクロスは、現在のところ、ダイオキシンを出さない高温焼却施設によるサーマルリサイクルまたは、廃棄処分場への埋め立てが主流です。
和紙クロス
和紙のクロスは、和紙に裏打ち紙を貼り付けたものと、和紙そのものの2種類に
分類できます。裏打ち紙を貼り付けたものは主に大手インテリアメーカーが和紙をクロス用に開発したもので、貼替えが可能です。
貼替え時は、ビニールクロスと同様に裏打ち紙を下地に残して、はがすことができます。
和紙そのものの製品は、和紙特産地域で開発され、基本的に和紙の単一層なので、貼り付けたものをはがすことはできません。改装の場合は、その上に重ね貼をしていきます。
材料価格は¥1,000/㎡~¥2,000/㎡のものが一般的です。
廃棄された和紙のクロスは”紙”としてリサイクルされます。
和紙のクロスは、汚れがとれにくく、施工難易度がやや高いため、ビニールクロスの様に緻密な仕上がりを追求する場合はおすすめできませんがインテリアカワイタケシとしては、日本の風土に合った、地球にもやさしいインテリア素材として、応援したいアイテムです。
紙クロス
ビニールクロスは、塩化ビニールを可塑剤により発泡させ、表面に凹凸を表現します。紙クロスは、その凹凸の表現を塩化ビニールの助けなしに紙で表現した製品です。紙のみでできているので、通気性や吸放湿性に優れます。
また、珪藻土やケナフなど素材の特徴を生かした製品も開発され多彩になっています。
反面、汚れがとれにくく、施工難易度がやや高いため、ビニールクロスの様に緻密な仕上がりを追求する場合はおすすめできません。
しかし独特のシンプルな風合いや素材感があり、好む人も多いです。
材料価格は¥1,000/㎡~¥2,000/㎡のものが一般的です。
廃棄された紙クロスは”紙”としてリサイクルされます。
織物
布(織物)に裏打ち紙を貼り付けて壁紙にしたものです。壁紙が出始めた昭和30年代~40年代は、この織物が主流でした。その頃は応接間などに使用する高級内装材という位置づけでした。
現在も、結婚式場、ホテル、ゴルフ場のクラブハウスなどフォーマルな場所に
使用されており、高級内装材としての地位は、不動のものになっています。
材料価格も別格で、¥2,500/㎡~¥6,000/㎡です。シルクを使用したものなどは、¥10000/㎡以上します。
埃についても定期的な清掃が必要で、汚れた場合、しみぬきなどの専門知識が必要です。
しかし、織物独特の素材感は、すばらしいものがあり、お部屋を”別格”にするにはうってつけの材料です。
お客様を迎える応接間にいかがですか?
廃棄された織物クロスは劣化したものが多く現在のところ可燃物としてサーマルリサイクルが主流です。劣化していなければ、糸くずとしてリサイクルできると思われます。
珪藻土
水中にプランクトンが堆積し、長い年月を経て土化したものを珪藻土といいます。
粒子は微細なチューブ状の形状をしており、表面積が非常に多いため、保湿性が高く乾燥した珪藻土を室内に置いた場合、調湿効果が期待できます。
また、珪藻土の持つ無数の孔が臭いを吸着し消臭効果があるとされています。湿気のたまりやすい場所や、乾燥させておきたい場所に有効です。
珪藻土クロスには、紙の表面に吹き付けた製品と紙の中に練りこんだ製品があります。
紙の表面に吹き付けた製品は、じゅらく壁(和室の塗り壁)の様な落ち着いた風合いがありますが、表面の珪藻土が欠落しやすく、施工難易度は高いです。したがって施工後の修正がしにくく、貼替えの材料には不向きです。
紙の中に練りこんだ製品は、紙クロスに近い施工性と風合いを持っています。
材料価格は¥1,000/㎡~¥2,000/㎡のものが一般的です。
廃棄された珪藻土クロスは可燃物としてサーマルリサイクルされるか、”紙”としてリサイクルできると思われます。
オレフィン
塩化ビニールを低温で焼却した場合、ダイオキシンが発生し、周囲の土壌に悪影響をおよぼす可能性があります。
焼却の際にダイオキシンが発生せず、ビニールクロスに近い性能を期待して開発した製品がオレフィンクロスです。塩化ビニールのかわりに食品包装材に使用する”エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)”を使用しています。
ビニールクロスのように汚れに強く、水拭きが可能です。また、表面強度も高く、キズがつきにくいのが特徴です。
しかし、可塑剤による発泡がしにくいため、厚みが薄く、下地の凸凹を拾いやすいです。
近年の印刷技術により、かなり改善されましたが、施工難易度は高めです。
材料価格は¥1,000/㎡でほぼ統一しています。
廃棄されたオレフィンクロスは、可燃物としてサーマルリサイクルされます。
雰囲気を決める
お部屋の雰囲気を色調と素材感から、どの様にするか決めます。
落ち着いた雰囲気⇒クリーム系ピンク系(イエロー系)、織物調、無地
活動的な雰囲気 ⇒グレー系ブルー系(ブルー系)、石目調、柄物
中立な雰囲気 ⇒ベージュ系グリーン系、和調(和紙、じゅらく)
色調と素材感の組み合わせを考える
雰囲気を決めた後、いま一度自分の好みの色調と素材感を考えます。
例:落ち着いたなかにも緊張感が少し
↓
グレー系の織物調
活動的ななかにもやわらかさがある
↓
クリーム系の石目調
ぱっと華やかな感じ
↓
数種類の色を使った花柄
など・・・
機能性をチェックする
クロスには、汚れ防止の加工を施したものや消臭機能があるものなどさまざまな機能性をもったものが製品化されています。それぞれのお部屋の用途にあわせた
機能を持ったクロスを使用することでより快適な空間となります。
機能性を持つクロスの中に気に入った柄があるなら積極的に使用してみましょう。
ビニールクロスの主な機能性
防かび
ほとんどすべてのビニールクロスが防かび加工されています。したがって、クロスから、かびが発生することは、ほとんどありません。
多くの場合、下地のかびの菌糸がクロスに進行してしまうか、クロス表面の汚れがかびてくっついてしまうかどちらかです。
不燃認定
ほとんどのクロスは準不燃以上の認定を国土交通省より取得しており、通常使用する場合に問題はありません。
しかし、高層ビルの11階以上や、地下街などは不燃材料を下地として不燃認定のクロスを貼らなければならない場合があります。この場合、事前に工事業者から指示がありますので必ず従ってください。
また、不燃認定のクロスを通常の場所に貼ることは、まったく問題がないので、気に入った柄があったら使用しましょう。
汚れ防止
ビニールクロスの表面は、可塑剤によって発泡された塩化ビニールで製造されるため微小な穴が無数に開いています。
そのため、汚れが多少染み込む性質があります。これが汚れがとれにくい原因のひとつになっています。
汚れ防止クロスは、表面をじょうぶなフィルムでカバーして汚れを染み込みにくくしています。表面がじょうぶなため拭き取りもしやすくなっています。
抗菌
表面を抗菌性フィルムでカバーしたものと、抗菌剤でコーティングしたものがあります。
抗菌は殺菌とは違い、有害とされる大腸菌、黄色ブドウ球菌、MRSAなどを対象にしています。
抗菌効果は半永久的に保ちます。
表面強化
通常のものに比べ、破れにくく傷つきにくいクロスです。
フィルムによって表面を強化したものと、表面そのものを強化したものがあります。
消臭
活性炭などの消臭剤を表面に練りこんだクロスです。
ホルムアルデヒドや硫化水素など悪臭の元となる成分を吸着させ化学反応で無害化します。
化学反応による消臭なので効果は期待できますが、消臭する量には限度があり効果はおおむね10年程度といわれています。
吸放湿
紙おむつなどに使用される吸水ポリマーの技術を応用して開発されたのが吸放湿クロスです。
クロスの表面が湿気を吸って結露を防ぎます。周囲が乾燥すれば湿気を放出します。
洗面脱衣室、トイレ、クローゼットなど、湿気のたまりやすい場所に有効です。
通気性
クロスに通気性と透湿性があります。
下地に石膏ボードなどの吸湿性の高いものを使用している場合、結露防止に高い効果を期待できます。
マイナスイオン
天然鉱石の粉末をクロスの表面に練りこみ、鉱物が発生する電離放射線を利用してマイナスイオンを発生させます。
マイナスイオンは、森林浴効果があるといわれています。
練りこんだ天然鉱石は、マイナスイオン発生により変化を起こすわけではないので、効果は半永久的に持続します。
光触媒(酸化チタン)
光触媒の酸化チタンをクロス表面に塗布したクロスです。
酸化チタンは、太陽光や蛍光灯に含まれる紫外線があたると、汚れや細菌を水と炭酸ガスなどに酸化分解しセルフクリーニング効果、抗菌効果を発揮します。
紫外線のあたるお部屋で効果が期待できます。
蓄光
クロス表面の印刷の一部に蓄光顔料を使用しています。
通常照明の光を蓄え、消灯後約20分間やわらかな光を発します。
耐用年数は、約5年程度です。
子供室の天井に人気です。
ペット対応
ペットの爪や牙に負けないように開発されたクロスです。
通常、汚れ防止+表面強化+抗菌 の機能を備えたものをいいます。
壁と天井の具体的な色、柄(品番)を選ぶ
サンプル見本帳を調達し、(サンゲツ、東リ、トキワ、
リリカラ、シンコール、ルノン)
決めた色調と素材感に合致するものを機械的に抽出します。
抽出したなかから、一番イメージに近いものに決定します。
機械的に抽出する理由:
サンプル見本帳には、非常にたくさんの種類のサンプルが掲載されており、ひとつひとつ検討しながら確認していると時間がかかりすぎ、途中でいやになってしまいます。
結果的にすべてのサンプルを見ることができず、希望のイメージのものを見逃す可能性があるからです。
壁の材料の具体的な品番が決まったら、天井の品番をきめます。
壁の材料に合うものをいままでの要領で決定します。
一般的な傾向
住宅の場合、来客者なども立ち入る場所の玄関、リビング、一階のトイレ等
パブリックスペース(共用部分)は、オーソドックスなベージュ系の織物調か石目調の無地のクロスを用いることが多いです。
クロスを無地にしておけば、もらった置物や衝動買いした小物なども周囲とのバランスをあまり考えずに飾れるのでよいです。
最近は、シンプルな無地のクロスで汚れ防止や消臭、マイナスイオンなどの機能性を付加したクロスが人気です。
寝室は、他の部屋よりやや濃いベージュ色が人気です。
子供室は、薄いピンク、薄いグリーンが好まれます。
多くの場合、全体のバランスや統一感を考えて、ソフトな印象のクロスを使用する傾向にあります。
インテリアカワイタケシとしては、寝室、子供室、洗面脱衣室、2階のトイレなどは、個人的な空間(プライベートスペース)なので、思い切って自分好みにするのがよいと思うのですが・・・
避けたいクロスの種類
クロスのなかには”使用するのをやめたほうがいい”ものがあります。
①表面がつるつるのクロス
クロスの下地は、石膏ボードまたは、ベニア板の場合がほとんどです。
その下地には、継ぎ目があり多少段差があります。
パテ処理をして表面を平滑にするのですが、うっすらと凸凹が残ります。
表面がつるつるの場合、その凸凹が目立つことがあり、おすすめできません。
②まっ白なクロス
最近、流行ですが、クロスをまっ白にすると、他の部分が目立ってしまい、
気になるのでおすすめできません。
他の部分とは、汚れた部分や継ぎ目などです。
特に10歳未満の子供がいる場合は、壁に手垢がついてしまいます。
どうしてもまっ白なクロスにしたい場合は、汚れ防止のクロスを選びましょう。
③職人、監督など現場のひとが指摘したクロス
実際に現場で貼っている職人や、その工程を見守る監督が”やめたほうがいい”と指摘したクロスは、期待した仕上がりにならないので避けましょう。
クロスのコーディネートプランを作成します
現在、建築中、もしくは改装中でクロスを選ばなければならないけどよくわからない方、
他の意見を参考にしたい方クロス コーディネート プランを作成します。
送られたチェックシートに回答し平面図などの資料とともに返送ください。
資料到着後1週間程度で作成してお送りいたします。
※クロス コーディネート プランは スタッフ一同 一生懸命作成しますが
個人的なイメージかかわることなので 申し訳ありませんがイメージと違ったなど起因する一切の責任を負わないことをご了承ください。
コーディネートプラン作成料金 税込み25,000円